artscapeレビュー

マグリット展

2015年07月15日号

会期:2015/03/25~2015/06/29

国立新美術館[東京都]

マグリットというと、シュルレアリスムのなかでも素人受けするイラストレーターみたいな位置づけで敬遠していたが、息子が見たいというのでついて行く。しかしこうしてまとめて見ると、そう捨てたもんでもないなあと思えてくるから不思議だ。例えば、巨大岩が宙に浮かんだ《現実の感覚》。かつてはトリッキーなイメージばかり問題にして不条理だとか陳腐だとか述べていたけど、どうでもいいような背景の空と雲の色彩に着目すると、青から水色に変わるグラデーションと藤色の雲の織りなす微妙なニュアンスが美しく感じられたりする。木に顔が生えてる《不思議の国のアリス》も、樹木の描写に見られる補色を隣り合わせに置いた点描風の描写は、エドモン・クロスやマクシミリアン・リュスの点描派の絵画を彷彿させる。そういえばベルギーは20世紀以降も点描技法を継承させた国のひとつだったっけ。図らずも色彩画家マグリットを発見してしまった。

2015/06/07(日)(村田真)

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