artscapeレビュー
木野智史「夕凪」
2015年08月01日号
会期:2015/07/07~2015/07/19
ギャラリー恵風[京都府]
ロクロ成形と磁器にこだわりを持つ木野智史。彼は約2年前から「颪(おろし)」と題したシリーズに取り組んできた。これはロクロで円環を作った後、半乾きの状態で一部をカットし、手でひねりを加えるなどしたオブジェだ。風や水流を思わせるフォルムと白い地肌、青磁釉の組み合わせが研ぎ澄まされた美を醸し出している。本展では、この「颪」が更なる発展を遂げた。2つのパーツが巴形に絡まった形状の《颪(眼)》である。また、焼成前に作品の一端を水につけることで、部分的に崩落を生じさせる《潮汐》という作品も出品されていた。さらに、鉢の口縁部に漆を施した新系統の作品《茜》も発表。一度に3種類の新機軸を発表する攻めの姿勢で、作家としてのポテンシャルをまざまざと見せつけた。
2015/07/07(火)(小吹隆文)