artscapeレビュー
大西伸明個展「鏡を通り抜けて彼女は何をみたのか」
2017年05月15日号
会期:2017/04/01~2017/04/29
MA2ギャラリー[東京都]
壁に大小の鏡が3点かかり、床には半割りの頭蓋骨と巨大な手が置かれている。鏡は鏡面も外枠(額縁)もブロンズ色の白銅製で、鏡面が少し前に出ているため、本物の鏡を型どりした鋳型であることがわかる。いわば「鏡を通り抜けて」振り返って見た状態か。頭蓋骨と手のほうはどちらも内側はメタリックな白銅で、外側は白く塗られている。本来は隠されている物体の内側を表として見せている(しかしよく磨かれているので反射する)わけだ。版画科出身の大西は「版」の概念を問題にしており、同じものを2点並べていた先日のギャラリー21yo-jでの個展が、「複製」や「複数性」をテーマにしていたとすれば、今回は「反転」や「表裏」がテーマになっているようだ。
2017/04/28(金)(村田真)