2019年12月01日号
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artscapeレビュー

第16回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞者個展 時吉あきな展 ナンバーワン

2018年02月15日号

会期:2018/01/10~2018/01/26

ガーディアン・ガーデン[東京都]

時吉あきながガーディアン・ガーデンで開催した「ナンバーワン」展は、2017年の第16回グラフィック「1_WALL」のグランプリ受賞作品展である。だが、手法的には写真を使った立体コラージュ作品であり、写真部門の作品と見てもまったく問題ない。まず、いろいろな犬たちの写真を、角度を変えてスマートフォンで撮影し、それらをコピー用紙に出力して貼り合わせ、立体化していく。リアルな造形だが、細部を見るとつなぎ目の所にズレや歪みが生じており、それが逆に面白い視覚的効果を生んでいる。会場には、さらに部屋の壁やカーテン、ソファ、キャビネット、流しなども同じ手法で再現してあって、活気あふれる部屋の空間が成立していた。キャビネットの上のTVやティッシュペーパーの箱、ソファのクッションなどもコピー用紙製で、その徹底したこだわりがなかなか楽しかった。

このような立体コラージュの手法を使った作品は、すでに1990年代から写真新世紀や写真「ひとつぼ展」(写真「1_WALL」の前身)に出品されていた。また、糸崎公朗が街の建物などを写真撮影して再構成した「フォトモ」のシリーズなどでも使われてきた。その意味では特に目新しい手法ではないのだが、1994年生まれの時吉のような若いアーティストが、スマートフォンやカラーコピー機を使って新たにチャレンジしようとしているのが興味深い。同時に、いまや若い世代にとっては、グラフィックと写真の領域のあいだの境界線もほとんどなくなりつつあるのではないだろうか。僕は写真「1_WALL」の審査をしているのだが、時々グラフィック部門と審査員の入れ替えを図るのも面白いかもしれない。

2018/01/24(水)(飯沢耕太郎)

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