2019年12月01日号
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artscapeレビュー

谷川俊太郎展

2018年02月15日号

会期:2018/01/13~2018/03/25

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

谷川俊太郎が60年以上にわたって発表し続けてきたコトバ、モノ、映像など多彩な作品世界が開陳されている会場に、1982年にダゲレオ出版から刊行された写真集『SOLO』におさめられた写真群がかなり大きなスペースを占めて展示されていた。これは嬉しいことだ。というのは、谷川はとてもいい写真家ではないかと前からずっと思っているからだ。
『SOLO』はかなり実験的な写真集で、当時仕事場として借りていた新宿のワンルームマンションの一室を舞台に、日常の断片がアトランダムに切り取られ、無造作に投げ出されている。チラシや新聞記事、楽譜などのコピー、昔の写真なども挟み込まれており、その雑然とした、やや不穏な空気感は、その時期の彼のやや荒んだ精神や身体の状況を反映しているようでもある。いわば、谷川流の「私写真」というべきこの仕事を、彼が大事にしていることが、展示からもしっかりと伝わってきた。
じつは谷川にはもうひとつ、重要な写真の仕事がある。個人的な関わりもあるので、その写真文集『写真』(晶文社、2013)の作品が展示されていなかったのはちょっと残念だった。『写真』を見れば、デジタル時代になっても谷川がこの表現メディアに強い関心を寄せ続け、そのあり方について思いを巡らし、テキストを書き続けていることがよくわかる。その関心は、いまも持続しているはずだ。あらためて、「写真家・谷川俊太郎」という観点から展覧会を企画することも充分に可能なのではないだろうか。

2017/01/21(日)(飯沢耕太郎)

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