artscapeレビュー
カタログ&ブックス│2018年11月
2018年11月15日号
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
※hontoサイトで販売中の書籍は、紹介文末尾の[hontoウェブサイト]からhontoへリンクされます
建築×写真 ここのみに在る光
東京都写真美術館による、初の建築写真をテーマとした展覧会のカタログ。写真黎明期から現代まで、建築と写真は蜜月関係にあり、幾多の建築物、構築物、都市が写真の被写体となってきた。本書は、写真美術館のコレクションを中心に構成された全出展作品を収録。
BEPPU PROJECT 2005-2018
大分県において別府現代芸術フェスティバル『混浴温泉世界』『in BEPPU』など、アートフェスティバルや芸術文化振興事業を立ち上げ実行してきたアートNPO、BEPPU PROJECT。その発起人であり代表理事の山出淳也が、組織の立ち上げから13年間にわたって展開してきたアートと社会を接続する活動を振り返り、等身大の視点と表現で綴りました。
少年期におけるアートとの出会いからアーティストとしての経験や学び、そして地域においてアートフェスティバルを作りあげていく経緯やその内情、近年のクリエイティブを活かしたソーシャルベンチャーともいえる活動のアイデアの源泉なども網羅。アートマネジメントやまちづくり、地域と深く関わるビジネスに従事する方やこれから立ち上げる方などに、自らの経験を通じてエールを送ります。
幻の万博 紀元二千六百年をめぐる博覧会のポリティクス
1940年、東京オリンピックとともに開催が計画され、総合芸術の一大イベントだった紀元二千六百年記念万国博覧会。日中戦争の激化に伴って、オリンピックともども実質的な中止に追い込まれた「幻の万博」は、いったい何を目指していたのだろうか。
紀元二千六百年の奉祝行事だった「幻の万博」は、海外の多くの参加国や来場者を見込み、教育や産業振興はもちろん、当時の実験的な芸術や新しいメディアを数多く披露しようとしていた。芸術やアトラクションを通じて、国内外へのプロパガンダを企図していたのである。
同時代のパリ万博やローマ万博と比較し、満州国美術展覧会や満州映画協会との関連も調査して、戦争と抜きがたい関係性にあった「幻の芸術の祭典」の実態に迫る初の研究書。
制作へ 上妻世海初期論考集
さまざまな仕方で制作的身体をつくってきた上妻世海による、2016年から現在までの論考をまとめる。書き下ろしと、書籍や雑誌、Webメディアなどで発表したテキスト、あわせて全13本を収録。
「1968年 激動の時代の芸術」展覧会カタログ
20世紀の歴史の転換点とされ、現代美術にとっても重要な年となった1968年の芸術状況を、ちょうど50年が経過した2018年の時点から回顧する展覧会。現代美術のみならず、写真、デザイン、建築、演劇、舞踏、音楽、映画、漫画にも視野を広げ、作品のみならず多彩な資料も交えつつ多角的に展示します。この時期、磯崎新、赤瀬川原平、高松次郎、横尾忠則、寺山修司、唐十郎、森山大道、土方巽をはじめ、個性的な面々が分野を超えて活躍しました。万博、学生運動、アングラ、カウンターカルチャーで燃え上がる熱い時代のエキセントリックな1968年芸術を、ぜひご覧ください。
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2018/11/15(木)(artscape編集部)