artscapeレビュー

アッセンブリッジ・ナゴヤ2018

2018年11月15日号

会期:2018/10/06~2018/12/02

名古屋港〜築地エリア一帯[愛知県]

名古屋港から築地口エリアで展開されている、「アッセンブリッジ・ナゴヤ2018」を訪れた。音楽とアートの活動の拠点となる《港まちポットラックビル》(旧・文具店)は、2階のプロジェクト・スペースで残念ながら今度、解体されることになった旧潮寿司の建物(L PACK)、3階のエキシビジョン・スペースで失敗した名古屋オリンピックの誘致(山本高之)と戦時慰安婦(碓井ゆい)など、リサーチをもとに忘れられていた歴史をたどる作品を展示していた。20年間空き家になっていた潮寿司はL PACKによって改造・運営され、アルファベット化した「UCO」という名の社交場/カフェスペースとして使われていたが、土地の所有者が手放すことになり、あわせて隣接する小さなボタンギャラリー(旧・ボタン店)も閉じることになった。渡辺英司が監修していた後者では、1階の「殿様のわらじ」展でアーティストや市民の値段をつけた作品を並べ、2階の記録展では、これまでの展示からお気に入りのものをドキュメントブックとして自分で製本し、持ち帰ることができるワークショップがなされていた。いずれも2年半前に初めて訪れた場所であり(そのときはアーティスト・ブック展を開催していた)、リノベーション後の状態しか知らないのだが、空き店舗の活用法として魅力的だっただけに惜しまれる。

さて、これらの建物の裏側には、かつて賭博場に使われたという家屋があり、港町の歴史を感じさせる。しかし、ここも消える予定であり、街の記憶が欠けていく。かといって、新しい再開発が待っているわけでもなく、商店街では空き店舗が増えているらしい。今後、あいちトリエンナーレとは別の枠組で運営されているアッセンブリッジ・ナゴヤが、地域の資源を生かしながら、どのように展開していくかを注目したい。ちなみに、賭け事という意味では、ボートピア名古屋(場外舟券発売場)が設置されたことから交付される環境整備費が、まちづくり事業に使われ、ポットラックなどのイベントに使われている。

2階のL PACKの展示


3階の碓井ゆいの展示


「UCO」の内部


「UCO」の背後


ボタンギャラリー記録展

2018/10/27(土)(五十嵐太郎)

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