2022年04月15日号
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artscapeレビュー

アメリカ近代写真の至宝 ギルバート・コレクション展

2018年11月15日号

会期:2018/11/09~2018/11/28

フジフイルム スクエア[東京都]

アメリカ・シカゴ在住のアーノルド&テミー・ギルバート夫妻は、1968年から集中してアメリカ近代写真のコレクションを開始した。自身もアマチュア写真家で、アンセル・アダムス、アーロン・シスキン、ブレット・ウェストンら近代写真の巨匠たちとも親交のあった彼のコレクションは、特にニュー・バウハウスを前身とするシカゴ・インスティテュート・オブ・デザイン出身の写真家たちの作品を多く含む貴重なものである。そのうち1050点が、息子のジェフリー・ギルバートの斡旋で1986年に京セラ株式会社によって購入され、京都国立近代美術館に寄贈された。今回のフジフイルム スクエアでの展示は、そのなかからアメリカ近代写真の創始者のアルフレッド・スティーグリッツやポール・ストランドの作品を含む約70点を厳選したものである。

京都国立近代美術館の「ギルバート・コレクション」は質量ともに国内の美術館所蔵の写真作品の白眉と言えるが、なかなかその全貌を見る機会はない。その意味で、ダイジェスト的な展示には違いないが、その一部が東京で公開されるのはとてもありがたい。特に一般の観客にとっては、アンセル・アダムス、イモジェン・カニンガム、エドワード・ウェストンなどの大判カメラを使用した風景写真のヴィンテージ・プリントを目の当たりにする機会はなかなかないので、とても有意義な展示になった。デジタル・プリントも年々進化して、モノクロームの銀塩プリントと比較しても遜色ないレベルに達しているが、それでも黒の深みや諧調の豊かさにおいては見劣りがする。さらに、どのようにも加工できるデジタル・プリントの場合、モノクローム表現の基準をどこに置けばいいのかが曖昧になりがちだ。まさに「ザ・スタンダード」というべきアメリカ近代写真の巨匠たちの作品を、ぜひ目に焼き付けておいてほしい。

2018/11/14(水)(飯沢耕太郎)

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