2019年08月01日号
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artscapeレビュー

U-35展

2018年11月15日号

会期:2018/10/19~2018/10/29

うめきたSHIPホール[大阪府]

毎年恒例になった若手建築家を紹介する大阪のU-35展のシンポジウムに司会として登壇した。今回は公募以外に初めて推薦制度を導入したことから、強度のある個性派が揃い、濃密な議論が行なわれた(全体の水準が高かったおかげで、五十嵐淳が吠えなかったことも特筆に値する)。顔ぶれを整理しよう。まず、海外から2組も参加したことが印象的だったが(高杉真由+ヨハネス・ベリー、服部大祐+スティーブン・シェンク)、プレゼンテーションの方法も日本勢とはまったく違い、過剰な説明はなく、ストレートに美学を詩的に提示していた。特に前者は、建築作品を再現する模型や図面などを一切見せず、彼らの手がけた会場デザインの作品に連なる系譜の空間インスタレーションを新たにうめきたSHIPホールで制作している。筆者は、初回からU-35の展示を見てきたが、こういうタイプのプレゼンテーションは初めてだった。

次に横浜国大系の3組は、環境の観察を詳細に行ない、そこから設計するという手つきが共通していた。すなわち、彌田徹+辻琢磨+橋本健史、tomito architectureの冨永美保、中川エリカであり、いまの日本の若手の主流となるアプローチと言えるだろう。そして東京大学の歴史研出身である三井嶺(昨年のゴールドメダル)と京谷友也は、構造やルールなどに対して、いずれも拗らせた複雑な設計を試みていたのが興味深い。2018年の参加者は、大きく3つのグループに整理することができたが、ゴールドメダルをめぐる議論では、審査委員長の平田晃久が最終的に中川を選んだ。彼女は、西田司の事務所でいきなり《ヨコハマアパートメント》を担当しているが、総合力では確実に頭ひとつ抜き出ているという判断は納得のいくものだろう(海外組は断片的な情報だけで最高の評価をしてよいか悩ましい)。別の日に伊東豊雄を迎えて開催されたシンポジウムでも、彼女が伊東賞を受賞している。

高杉真由+ヨハネス・ベリー(左)、服部大祐+スティーブン・シェンク(右)

彌田徹+辻琢磨+橋本健史(左)、冨永美保(右)


中川エリカ(左)、三井嶺(右)


京谷友也(左)、伊東賞のトロフィー(右)

2018/10/20(土)(五十嵐太郎)

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