2019年08月01日号
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artscapeレビュー

イケフェス大阪2018

2018年11月15日号

会期:2018/10/27~2018/10/28

大阪府内各所[大阪府]

大阪の建築イベント、イケフェス(生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪2018)に立ち寄った。あまり十分な時間がなかったので、ミナミから船場エリアまで、予約不要、人数制限なしの箇所だけをまわったが、小さな近代建築に順番待ちの行列が発生していたほか、街のあちこちでオレンジ色のガイドを手にした人が数多く歩いていることに感心させられた。おそらく平日はビジネスマンが多く、休日は余計にイケフェス目当ての人が目立つのかもしれないが、その風景は、あいちトリエンナーレなどの芸術祭におけるまちなか展開のようだ。2011年のUIAの東京大会に関連して、2008年に発足したopen! architectureのとき、ここまでの状況は出現しなかった。凄いことである。「日本初・建物一斉公開イベント」をうたうopen! architectureは、建築史家の斎藤理が中心となって、ベルリンやロンドンの事例を参考にしながら企画し、主に東京で開催されたものなので、基本的にイケフェスの同じ考え方だった。

もっとも、エリアや公開している建物の数では、圧倒的にイケフェスが大規模になっている。また昔はSNSのメディアもあまり発達していなかったのに対し、イケフェスは紙媒体のガイドブックも見やすくデザインされていただけでなく、スマートフォンでもプログラムがとても調べやすくなっている。「フェス」という語感も、今風である。ほとんどが事前の予約制だったopen! architetcureに対し、予約不要や人数制限のない建物が多いことも、飛び込みでやってきた者にとってはありがたい。ともあれ、こうして建築ファンの層を広がること、またそれが可視化されることは嬉しいことである。そしてじつは、多くの来場者が訪れることで、オーナーも自分が普段使っている建物が重要なものだと気づき、ますます愛着をもってもらうことが重要なのだ(これもopen! Architectureで狙っていたことである)。おそらく、こうした意識をもつことで、長く建物が保存されることにつながるだろう。

遠藤秀平《SENSEISHA BLDG.》(2002)(左)、《御堂ビル(竹中工務店大阪本店)》1階「生きた建築・伝える心と技」展(右)


《青山ビル》(1921)(左)、《大阪農林会館》(1930)(右)


《伏見町 宗田家住居(CuteGlass Shop and Gallery)》(1921)


《原田産業株式会社大阪本社ビル》(1928)


《日本基督教団浪花教会》(1930)


2018/10/28(日)(五十嵐太郎)

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