2024年02月15日号
次回3月1日更新予定

artscapeレビュー

新山清:Vintage Photographs 1948-1969

2023年08月01日号

会期:2023/07/05~2023/07/29

スタジオ35分[東京都]

先月、Alt_Mediumで展覧会を開催したばかりの新山清の作品を、今度は東京・新井薬師前のスタジオ35分で見ることができた。今回の展示でも、新たな切り口が提示されている。新山が残した1948年から1969年まで制作のヴィンテージ・プリントから、写真家の畠山直哉が20点をセレクトして展示したのだ。

畠山は、以前から新山の写真に関心があったようだが、スタジオ35分の酒航太の依頼によるセレクションは、多分に偶発的なものだった。だが結果的には、いかにも畠山らしい、厳密な造形意識と遊び心が融合した作品が選ばれており、新山清の作品世界の解釈に新たな観点を打ち出していた。畠山は展覧会に寄せたテキストで「歴史的及び文献学的なパースペクティブに基づく客観的価値判断は、ほとんどおこなわれておりません」と書いているが、おのずと畠山が追い求めていた被写体のフォルムを強調する、モダニズム的な写真創作の原理を体現した作品が中心になった。だがそれだけではなく、写真を撮ること、プリントすることの歓びが溢れ出ているような作品が多く、畠山自身も驚き、愉しみつつセレクトしている感触が伝わってきた。特に、新山が不慮の死を遂げる直前の、1969年に台湾で撮影したという岩や山羊の群れの写真に、心惹かれるものを感じた。

先にも書いたように、新山清の作品世界を多面的、かつ総括的に検証すべき時期が来ているのではないだろうか。より大きな会場での回顧展をぜひ見てみたい。


公式サイト:https://35fn.com/exhibition/kiyoshi-niiiyama-exhibition/

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