artscapeレビュー
市川孝典 murmur
2010年03月01日号
会期:2010/01/15~2010/02/06
FOIL GALLERY[東京都]
線香画で知られる市川孝典の個展。線香の炎で和紙に穴を穿ち、その模様と焦げ目の色合いによって絵を描き出す。線香を用いて描く作家としてはすでに小川陽がいるが、小川が禁欲的で抽象的な画面を構成するのにたいして、市川はあくまでも写実的。本展では鬱蒼とした樹木などをモチーフとした作品、十数点を発表した。これまでの「絵画」には到底収まり切らない、写真や版画、工芸といった要素をそれぞれ持ち合わせながらも、「平面作品」としての強力な視覚経験を与えるところに大きな特徴がある。画面に余白を大胆に取り入れるなど、新たな展開も見せていた。
2010/01/22(金)(福住廉)