artscapeレビュー
京都オープンスタジオ2010
2010年03月01日号
会期:2010/02/12~2010/02/14
AAS、桂スタジオ、うんとこスタジオ、豆ハウス、ライトスタジオ、兼文堂スタジオ、[京都府]
※上記は全会場がオープンしていた期間。会場ごとに会期は異なる。
京都市内に点在する8つの共同スタジオが、一斉にオープンスタジオを開催。昨年も「4つのアトリエ」と題した同種のイベントが行なわれたが、今年は参加スタジオ数が倍増。作家数も30組以上と増加した。スタジオの展示には不備もあるが、それ以上に生々しさが伝わってくるのが興味深い。例えば「桂スタジオ」の風能奈々は、普段は見せないメモ帳のスケッチを展示したり、試行錯誤段階の陶芸作品を出品した。「AAS」の田中英行は過去の作品と新作を同時に出品し、旧作を破壊するパフォーマンスを行なった。「豆ハウス」の芳木麻里絵は自身の版画作品と同じ手法で砂糖菓子を作り、一部の観客にふるまった。また、スタジオの設えもそれぞれが個性的で、美術作品が生まれる現場の息吹きが直接肌に感じられた。今回の参加メンバーは京都市立芸術大学出身の30歳前後が主体だったが、京都は美大が数多くあるので、同様のスタジオはもっとあるはず。同様の動きが広がれば、京都アート界の一大潮流に発展するかもしれない。来年の2月はどんな状況になるのか、今から楽しみだ。
2010/02/14(日)(小吹隆文)