artscapeレビュー

公募京都芸術センター2010

2010年03月01日号

会期:2010/02/05~2010/02/24

京都芸術センター[京都府]

南北二つのギャラリーでの展示プランを募集した本展。今回は映画監督の河瀬直美を審査員に迎え、126件の応募の中から寺島みどりと森川穣のプランが採用された。北ギャラリーを使用した寺島は、空間全体をキャンバスに見立てて巨大な壁画の公開制作を実施。絵ができあがる過程自体を表現として提示した。寺島は直感や身体性を重視するタイプ。幾層も色を塗り重ねながら落とし所を見つけ出すので、公開制作向きの作家と言える。一方、南ギャラリーの森川は、館の床下から掘り出した土や遺棄物を細長いスリット越しに見せるインスタレーションを発表した。ちょうど虫の目線で京都芸術センターのもうひとつの姿を覗き見るような作品で、部屋の壁に一筋の線が引かれただけに見えるミニマルな空間構成もスタイリッシュだった。動と静、二つの対比が際立つ今回の展覧会。河瀬監督の狙いもその辺りにあったのだろう。

2010/02/05(金)(小吹隆文)

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