artscapeレビュー
宮本佳美 展 immortal plant
2010年12月01日号
会期:2010/11/06~2010/11/27
イムラアートギャラリー[京都府]
花をモノトーンで描いた絵画作品。100号×3の大作をはじめ、100号、50号の作品が中心だ。宮本が描く花は、明るく生命力にあふれた野の花ではなく、まるで蝋人形のような、生と死の中間でもうひとつの生を得たかのような花だ。以前の作品は、押し花を漂泊して、写真撮影した上で描いていたが、新作はドライフラワーを水の入ったガラスの器に浸し、照明を当てた様子を写真撮影して描いている。水槽の中で揺らめく分、旧作より躍動感があるが、それでも静謐で幻想的なたたずまいに変わりはない。モノトーンなのに既成の黒を使わず、20~30色を混ぜてつくった黒を塗り重ねて行く手法や、確かな描写力も相まって、彼女ならではの絵画世界が見事に表現されていた。
2010/11/16(火)(小吹隆文)