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岩崎貴宏「Phenotypic Remodeling(フェノタイピック・リモデリング)」

2010年12月01日号

会期:2010/10/22~2010/12/04

ARATANIURANO[東京都]

「六本木クロッシング2007」(森美術館)や「日常の喜び」(水戸芸術館)に参加した岩崎貴宏の個展。会場の床に紙袋や洋服などの日用品を配置したインスタレーションなどを発表した。一つひとつの日用品は部分的に解きほぐされ、その部分の繊維や素材をもとに鉄塔やクレーンなどの造形を細かく編み上げ、屹立させるところが見所だ。一見すると、工芸的な手わざを披露する類の作品に見られがちだが、それは現実的な文脈とはっきりと結ばれた、じつに社会的な作品である。日用品を再構成して形成したランドスケープは、現実の都市風景のミニチュアであると同時に、それがさまざまな商品記号の集積によって成り立っていることを示しているからだ。垂直方向に立ち上がる造形は、おそらく水平方向に無限に広がる記号経済の荒波の中から這い上がるための梯子なのかもしれない。

2010/11/11(木)(福住廉)

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