2018年04月15日号
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artscapeレビュー

新宮晋の宇宙船

2017年06月01日号

会期:2017/03/18~2017/05/07

兵庫県立美術館[兵庫県]

風や水などの自然のエネルギーを利用して動く造形作品を一貫して作り続けてきた作家、新宮晋(1937- 、大阪生まれ)の大規模な展覧会が開かれた。新宮といえば、戸外に設置されるサイトスペシフィックな作品が思い浮かぶ。しかし今回は、新作を中心とした18点が、「宇宙船」と見立てられた会場空間に展示された。安藤忠雄によるコンクリート建築のような人工的な空間に設置されるということは、作家にとってはある意味、挑戦であったろう。蓋をあけてどうであったかというと、館内の展示には意外な副産物があった。「星」や「雲」など自然を想起する詩的なタイトルが付く作品群、その風によって起こされる優雅な動きは、時にコンクリートの壁に影を落としてはゆらめく。流れる水力で動く金属作品《小さな惑星》は、照明を落とした空間に静かな水音とステンレスに反射された光がきらめき、幻想的な雰囲気を醸し出す。また自然の光が差し込み緑の見える中庭にも、作品が展示されて好対照であった。展示室内を巡り驚くのは、金属のように無機質な材料で作られた作品なのに、それぞれの動きがなんと有機的に感じられることか。新宮の作品に通底する、自然に対する驚嘆や自然の法則を表象する真摯な心持が伝わるようだ。[竹内有子]

2017/05/07(日)(SYNK)

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