2022年05月15日号
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artscapeレビュー

プレビュー:岡崎藝術座『+51 アビアシオン,サンボルハ』

2015年02月01日号

会期:2015/02/13~2015/02/20

STスポットほか(国内5都市ツアー)[神奈川県]

今月の上旬は横浜でダンス・演劇の公演ラッシュになりますが、ぼくが個人的にもっとも楽しみにしているのは岡崎藝術座の新作公演です。『+51 アビアシオン,サンボルハ』と題された作品は、フライヤーの「演出ノート」を読む限りではアメリカに住む神里雄大自身の叔父家族を取材して生まれたものらしい。そのノートには「今回の作品では、日本人バンザイとか日本文化すごいなどとやるつもりはなく、わたしの出自をみんなに共有してほしいというつもりもなく、けれども去ってしまった人たちが故郷を想像するとき、残った人たちはどんなふうにその故郷を更新していけるのかということは大事にしたいと思う」とあります。直接、アメリカの叔父家族が直接言及されることはないようなのだけれど、複雑なルートを辿っていま日本で演劇を創作している神里の境遇は、それを意識的に創作に活かしていることとも相まって、この国の演劇界では珍しいものだ。そこに注目する気持ちもあるが、ともかくなにより岡崎藝術座の演劇は面白いのです。役者が舞台に立っているときの、その存在感が特別に強いのがこの劇団の特徴だとぼくは思っているのですが、それは社会の流れに翻弄されながら、自分の力で社会に向き合おうとしている者に独特のアウラなのではないでしょうか。今回も、その希有なアウラを見つめたいと思います。

2015/01/31(土)(木村覚)

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