2020年09月15日号
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artscapeレビュー

プレビュー:大橋可也&ダンサーズ「ザ・ワールド・シーズン2」(『クラウデッド』、『ヘヴィメタル』)

2015年03月01日号

会期:2015/03/20~2015/03/26

清澄白河周辺、江東区文化センターホール[東京都]

かつて大橋可也&ダンサーズが恵比寿のナディッフという書店で踊ったことがあった★1。書棚の通路を夢遊病者のように徘徊するダンサーたち。彼らの踊りは、日常と薄皮一枚隔ててそこにあった。ダンサーがいると気づかずに棚から目を離さない客もいた。そんな客には彼らは幽霊なのであり、そうやって見過ごされていればそのぶんだけ、うろつくダンサーたちの存在/不在が際立った。不思議な時間だった。今回、大橋可也は「散歩型」と称して、ナディッフでの試みをもっと広大なエリアで展開するようだ。場所は出発地点がSNACという指定があるだけ。かつて(10年ほど前か)「横浜ダンス界隈」という企画があった。横浜の街のあちこちに移動しながら、ビルの空きスペースなどでダンサーたちが踊るというものだ。あるいはやはりそのくらい前だったろうか、岸井大輔の企画で神村恵が駒場アゴラ劇場の周辺で踊るという上演もあった。観客を引き連れて街を劇場にしていくこうした試みはけっして多くないが、成功すると驚くほどのダイナミズムが生まれ、街がダンスが観客という存在がこれまでとまったく異なった相貌を見せるだろう。今回の大橋の試みに、ぼくはそんな認識の転倒が起きることを期待するし、ダンスが劇場から解放されるその解放感を堪能したい。

★1──「大橋可也&ダンサーズ「高橋恭司展『走幻』パフォーマンス」(木村覚)

2015/02/28(土)(木村覚)

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