artscapeレビュー
友人作家が集う─石原悦郎追悼展“Le bal”Part2-scherzo
2016年12月15日号
会期:2016/10/11~2016/11/12
ツァイト・フォト・サロン[東京都]
今年2月に亡くなったギャラリスト石原悦郎氏の追悼展の2回目。石原さんが写真専門の画廊ツァイト・フォト・サロンを始めたのは、ぼくがぴあに入社して間もない1978年。以来とてもお世話になった。白状しちゃうと、ぼくがぴあを辞めるときにはアンフォルメルの画家ヴォルスの写真をいただいた。もちろんヴィンテージじゃあないけど、大切な宝だ。開館まもないパリのオルセー美術館でたまたまお会いしたときには、「軍資金」といって1万円札(あるいは100フラン札だったかも)をムリヤリ握らされた。豪快で、艶っぽくて、そしてインテリだった。こういうイカしたおやじは美術界にはもう現われないかもしれない。ここに出品されている荒木経惟と安齊重男の写真には、若き日の石原さんが写っている。今回は故人を偲ぶために何十人もの写真家が出品しているが、石原さんとは関係なく1点だけグッと刺さる作品があった。上半身裸で頭だけ画面外に出てるデブを撮った鷹野隆大の《立ち上がれキクオ》だ。
2016/11/08(火)(村田真)