artscapeレビュー
小泉明郎 CONFESSIONS
2016年12月15日号
会期:2016/10/28~2016/11/27
京都芸術センター[京都府]
関西へ日帰りの旅。まず、関東でも見られるけど見逃している小泉明郎の個展へ。作品は2つあって、ひとつは、繁華街の若者やホームレスの姿が断続的に流れる映像に、「あなたの心のいちばん奥底にある言葉を聞かせてください」というインタビューの音声を被せた《最後の詩》。インタビュアーは「自分の好きなところは?」「日本をどう思いますか?」といった無難な問いから、次第に「レイプしたいか?」「殺したい人はいるか?」とエスカレートしていき、「もっとあるでしょ、もっと!」「ふざけんなといえよ! 腹立ってんだろ?」と挑発していく。もうひとつは、杉本博司の「海景」シリーズみたいな水平線が映る映像に、「子どもが上を見上げた瞬間に私は子どもを突き落としました。ところが頭から落ちれば即死するのに尻から落ちた」と朗読の声が被さるのだが、途中で「んあ!? ああ!?」と引っかかり、先へ進めなくなってしまう。映像も半分は焔に包まれた男の肖像に変化していく。どちらの作品も見ていてもどかしくなり、つらくもなるが、それは予定調和や同調圧力に対する抵抗の表現であるからだろう。
2016/11/25(金)(村田真)