artscapeレビュー
松本竣介 創造の原点
2016年12月15日号
会期:2016/10/08~2016/12/25
神奈川県立近代美術館 鎌倉別館[神奈川県]
今日は某女子大の教え子3人と展覧会巡り。まずBankARTで待ち合わせ、柳幸典展を見てから鎌倉へ移動。ところがJRが事故のため動かず、地下鉄に乗り換えたため金も時間も無駄にかかってしまった。くっそおおお! 鎌倉に行くのは本館の最後の展覧会以来だが、今回は別館での展示。出品作品はコレクションが中心で、点数もそれほど多くない。油彩、デッサンなど竣介だけで約60点。ほかに麻生三郎、靉光、寺田政明、井上長三郎、鶴岡政男ら新人画会のメンバーや、藤田嗣治の裸婦像も。また、竣介の撮影した風景写真や書簡、雑誌(特に戦時中の座談会「国防国家と美術」と、それに竣介が応えた「生きてゐる画家」が載った『みづゑ』誌)、スケッチ帖などの資料類が充実しているのは鎌近らしい。それにしても、4年前に大規模な生誕100年記念展を葉山でやったのに、なぜまた半端な規模の松本竣介展を開くのか不思議に思ったが、これはどうやら鎌近の宿命なのかもしれない。鎌近が公立美術館で初めて竣介の作品を紹介したのは、画家の死後10年の1958年のこと。その後、遺族らから寄贈を受けて、68年に旧館の1室を松本竣介記念室として公開したが、まもなく閉室。84年に別館が開館すると、展示室の一部を松本竣介コーナーとして作品を公開してきた。鎌近はつねに竣介とともにあり、その作品を紹介し続ける運命にあるのだ。
2016/11/26(土)(村田真)