artscapeレビュー
ティツィアーノとヴェネツィア派展
2017年02月15日号
会期:2017/01/21~2017/04/02
東京都美術館[東京都]
いくら日伊国交樹立150周年記念だからといって、つい数カ月前に「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展を見たばかりなのに、今度は「ティツィアーノとヴェネツィア派展」かよ。たくさん見られるのはありがたいけど、贅沢いわせてもらえるなら、ひとつにまとめて「拡大版ルネサンス・ヴェネツィア絵画展」として見せてほしかった。でも前者はTBSと朝日新聞社、後者はNHKと読売新聞社の主催だからありえないね。ちなみに両展とも出品作家は目玉のティツィアーノをはじめ、ベッリーニ、ティントレット、ヴェロネーゼとずいぶん重なっているが、ティツィアーノ作品に関しては今回のほうが明らかに上。なにしろ今回はフィレンツェのウフィツィから《フローラ》、ナポリのカポディモンテから《ダナエ》《マグダラのマリア》《教皇パウルス3世の肖像》の計4点が来ているからね。とりわけ女性ヌードの上に金貨が降り注ぐ《ダナエ》は、いくつかのヴァリエーションがあるなかでも絶頂期の傑作だ。これに比べるとベッリーニもティントレットも見劣りするなあ。ティツィアーノの偉大さを証明する展覧会でもあるようだ。
2017/01/24(土)(村田真)