artscapeレビュー
第3回ワークショップ「風景と記憶」─震災後の復興に及ぼす影響─
2017年02月15日号
会期:2017/01/25
朝日座[福島県]
ワークショップ「風景と記憶」南相馬の朝日座。藤井光の『ASAHIZA 人間は・どこに行く』、三度目の鑑賞は南相馬の朝日座になった。まさにこの映画が題材とし、舞台とする場所である。記憶の器としての建築、地方が共有する問題、シンコペーションするような映像と音、話や動きなどの一部が連続するシーンの切り替え。個人的にも忘れがたい映画となった。南相馬のワークショップでは、まず二上文彦(南相馬市博物館学芸員)が原町無線塔のレクチャーを行なう。土木建築造物としての価値、関東大震災時どのようにアメリカに一報が伝わったか、機能を失った戦後、保存運動、そして解体までの歴史を語る。これを壊したのは本当にもったいないと思う。だからこそ、その喪失を反省し、地元では朝日座を残す試みも起きたのだが。続いて、福屋粧子の宮城におけるプロジェクトのレクチャーでは、失われた街の白模型、牡鹿半島のワークショップ、そして玉浦西への集団移転計画を紹介する。座談会の終了後は、元芝居小屋だった痕跡が残る朝日座(映画館)のバックヤードツアーを行なう。どう使っていたかわからない細部が興味深い。
2017/01/25(水)(五十嵐太郎)