artscapeレビュー

プレビュー:Monochrome Circus+Kinsei R&D『T/IT:不寛容について』

2017年02月15日号

会期:2017/03/10~2017/03/12

京都芸術センター[京都府]

ダンスカンパニー・Monochrome Circusを率いる坂本公成と、LED照明を手がける照明家・藤本隆行(Kinsei R&D)によるコラボレーション・シリーズ作品の第3弾『T/IT:不寛容について』が上演される。ドラマトゥルクにShinya B(米国ペンシルバニア州立テンプル大学芸術学部アート学科上級准教授)を迎え、作曲は元dumb typeメンバーの現代音楽家・山中透が手がける。最先端のメディアとダンスを融合し、国際社会が抱える問題を「Tolerance/Intolerance(寛容/不寛容)」という切り口から考察する舞台作品になるという。
1990年に設立され、京都を拠点に活動するMonochrome Circusは、各メンバーが独立してソロやデュオの公演を行なっており、グループとしては即興的なコンタクトを活かした有機的なアンサンブルを持ち味としている。家具やグラフィックのデザインを手がけるgrafなど、他ジャンルのアーティストとのコラボレーションも積極的に行なっている。今回、Monochrome Circusと3度目のコラボレーションを行なうKinsei R&Dの藤本隆行は、1987年から dumb type に参加し、主に照明並びにテクニカル・マネージメントを担当してきた。2000年代以降は、LED照明を使った舞台作品の制作を開始。2010年からは大阪の山本能楽堂にて、古典能の演目にLED照明を付ける試みも始めている。
世界的な難民問題、テロと移民排除の動き、ドナルド・トランプのアメリカ大統領就任がもたらす波紋など、人種・民族・宗教・言語といった共同体の成立基盤をめぐり、同化/排除の構造や対立はますます激しさを増している。そうした現代社会のあり方に対して、身体表現とメディアを融合した舞台作品がどのように切り込むのかが期待される。

2017/01/30(月)(高嶋慈)

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