artscapeレビュー
カタログ&ブックス|2017年9月
2017年09月15日号
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
芸術公社アニュアル 2016-2017
芸術公社の立ち上げから丸2年。2016年4月から2017年3月末までの1年間、芸術公社が日本、アジア各地で行なった作品創作、ワークショップ、教育プログラム、リサーチなど多岐にわたる活動を総括した報告書。
*芸術公社ウェブサイトよりPDF版を無料でダウンロード可サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
ASEAN(東南アジア諸国連合)設立50周年を記念して国立新美術館、森美術館、国際交流基金アジアセンターが共同主催する国内過去最大規模の東南アジア現代美術展の展覧会図録。
都市は人なり──「Sukurappu ando Birudoプロジェクト」全記録
本書は、歌舞伎町の取り壊し直前の振興組合ビルで行われた展覧会+イベント「また明日も観てくれるかな?」から、高円寺のキタコレビルの地下に歌舞伎町のビルの瓦礫を埋め、建築家・周防貴之との協働により、そのうえに道(公共圏)を通すまでの一連の活動「Sukurappu ando Birudoプロジェクト」の全記録である。都市を舞台に活動してきたChim↑Pomが、その活動によって都市の姿を更新していく過程を、膨大な記録写真と関係者の証言で克明に写し取る。しかしこのプロジェクトは本書で完結していない。その最終形は、東京の再開発にゆだねられているのである。
建築学生ワークショップ比叡山 2017
全国の大学生を中心とした、地域滞在型建築ワークショップの全記録。2017年度の開催地は、比叡山。全国から集まった50名の大学生が、国内外で活躍中の講師の指導のもと、ちいさな建築作品を具現化させる。各作品のコンセプトから総評までを、豊富な図版とともに収録したドキュメントブック。
「Robert Frank: Books and Films, 1947-2017」展カタログ
9月22日(金)までデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催中の同展のカタログ。開催各地で発行されている新聞形式のカタログの翻訳版も好評を得ている。
ヴァナキュラー・モダニズムとしての映像文化
写真やジオラマ、映画、テレビなどといった複製技術による映像文化が切り開く「自由な活動の空間」の可能性を、高踏的なモダニズムではなく、ヴァナキュラー・モダニズム──日常生活の身体感覚に根差した──の視点から探究する、横断的映像文化論の試み。
織物以前 タパとフェルト
本書では、貴重な古写真から原初の布の風景を巻頭グラビアに、タパ研究の第一人者、福本繁樹氏による南太平洋のタパ紀行と東西アジアでフィールド調査を行った長野五郎氏によるフェルト紀行を図版展開。布の技術の広がりや機への発展なども考察しながら、装飾や衣文化の原点に立ち返る。
2017/09/14(木)(artscape編集部)