artscapeレビュー
天理
2017年09月15日号
[奈良県]
街の中心である神殿と教祖殿を見学する。ここは信者だけでなく、一般人にも開放されているので、是非オススメしたい。京都や奈良の社寺と違い、無料である。世界各地の宗教建築を見てきたが、東西南北の四方向から、信仰の対象である甘露台を拝む形式は、きわめてユニークなのだ。文化財でいばる社寺と違い、いつも生きた宗教を日本で感じることができる希有な空間である。初めて神殿を訪れたのは、22年前。座った信者たちが手踊りしながら「あしきをはろうて、助けたまえ、天理王のみこと」を歌う風景は変わらないが、前に聞いたことがない旋律が増えて(?)いたり、かなり洗練された歌い方にも遭遇した。長期間、反復と変容を重ねることで、宗教音楽は発達し、美しさを獲得する。
写真:上=天理教の神殿 下=おやさとやかた計画の建物
2017/07/23(日)(五十嵐太郎)