2019年11月01日号
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artscapeレビュー

禅フォトギャラリー10周年記念展

2019年11月01日号

会期:2019/09/18~2019/10/19

ZEN FOTO GALLERY[東京都]

東京・六本木の禅フォトギャラリー(ZEN FOTO GALLERY)が開廊10周年を迎え、その記念展が開催された。2009年にマーク・ピアソンが渋谷に設立し、2011年に現在の六本木に移転した同ギャラリーでは、これまで80名を超える写真家、アーティストの163の展覧会を開催し、130タイトル以上の写真集を刊行してきた。今回はその写真集の実物すべてを壁面に並べて展覧している。

マーク・ピアソンは「私自身と他の人々の生活の質の向上に向け、ささやかながら私が調整役を果たすための手段」としてギャラリーを運営してきた。単純に写真作品や写真集を売買して利益を得るというだけではなく、彼自身の理想を追い求めてきたということだ。それゆえ、禅フォトギャラリーのラインナップは、極めて独特なものとなっている。北井一夫、石川真生、須田一政、土田ヒロミ、山内道雄、有元伸也、中藤毅彦、殿村任香、東京るまん℃、梁丞佑など、個性的な顔ぶれだ。さらに若手の写真家や、莫毅(モイ)のような中国の写真家たちにもきちんと目配りしている。写真集のクオリティの高さも特筆すべきもので、第35回土門拳賞を受賞した山内道雄の『DHAKA 2』や、第26回林忠彦賞を受賞した有元伸也の『TOKYO CIRCULATION』など印象深いものが多い。

イギリス人のマーク・ピアソンと、そのアシスタントとして展示や写真集制作に重要な役目を果たしてきた台湾出身のアマンダ・ロは「どちらも日本人ではない」。そのために「必然的に間違いを犯し続ける」こともあったという。だが逆に日本人の常識にとらわれない物の見方で、この10年、新風を吹き込んでくれたともいえる。蒔き続けた種子が大きく育って、収穫の時期を迎えるのはむしろこれからだろう。

2019/10/02(水)(飯沢耕太郎)

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