2019年11月01日号
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artscapeレビュー

ゴッホ展

2019年11月01日号

会期:2019/10/11~2020/1/13

上野の森美術館[東京都]

生誕何年でも日蘭友好何年でもなく、サブタイトルもないストレートな「ゴッホ展」。ただ「人生を変えたふたつの出会い」というキャッチコピーがあるだけ。「ふたつの出会い」とは、ひとつは、さまざまな職業を転々とした後、画家として再出発して間もないころのハーグ派との出会いであり、もうひとつは、パリに出てからの印象派との出会いだ。同展はこの二つの出会いを軸に、両派の作品も交えて構成されている。ゴッホがいわゆるゴッホらしい絵を描くようになるのは、パリを経て南仏アルルに旅立ってからのことだから、この展覧会はいわゆるゴッホらしさが発揮される以前の初期作品に焦点を当てたものといえる。だから特に前半は、いわゆるゴッホ好きには物足りないかもしれないが、もっと奥を知りたい人には向いているかもしれない。

展示は初期のころのドローイングから始まる。労働者や農民らの貧しい生活を描いた拙い絵は、作者がゴッホでなければとっくに捨てられていただろう。急にうまくなったと思ったら、ヨゼフ・イスラエルスやアントン・マウフェ、アントン・ファン・ラッパルトといった、ゴッホの伝記にも名前が出てくるハーグ派の画家たちだった。パリに出ると色彩は徐々に明るくなっていくが、ここでもモンティセリ、モネ、ゴーガンら影響を受けた画家たちの作品が並んでいる。そして最後のほうはアルル以降のよく知られたゴッホだ。

これまで大がかりな「ゴッホ展」といえば、ゴッホのコレクションで知られるファン・ゴッホ美術館かクレラー・ミュラー美術館からごっそり借りてきたものが多かったが、初期の作品が中心の今回は、ハーグ美術館からの作品が24点、全体の3分の1強を占める。ちなみにファン・ゴッホ美術館からは1点、クレラー・ミュラーからは7点で、いずれも晩年の作品だ。

2019/10/10(木)(村田真)

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