artscapeレビュー

New Old School 2─写真は写真─

2023年12月15日号

会期:2023/11/17~2023/11/26

アクシスギャラリー[東京都]

「New Old School」展は、日本大学芸術学部写真学科で、三好耕三に学んだ卒業生有志による展覧会である。2018年に東京・原宿のVACANTで第一回展を開催したのだが、その後コロナ禍などで開催が延期され、ようやくその第二回展が開催できることになった。今回参加したのは、Uta Akane、及川天平、楠優、酒巻祐花、佐藤悠、蔡嘉辰、高橋春織,崔原豪、西村満、堀野浩司、山路雅央、そして三好耕三の12名だった。それぞれの作品を収めた、すっきりとしたデザインのカタログも刊行されている(編集:小倉快子・中森真、装丁:城井文平)。

銀塩・フィルム写真、大判カメラにこだわり続けてきた三好の教え子たちにふさわしく、中判以上のカメラを使った緻密な描写、しっかりとした画面構成の作品が多い。前回の展示のテーマは「デジタル写真は、写真ではない」というやや過激なものだった。だが、今回は「写真は写真」というシンプルなものになったこともあって、被写体の幅が広がり、写真制作のスタイルもフレキシブルなものになってきている。銀塩写真での制作が、出品の条件になっていることは変わりないが、「デジタルか、アナログか」という二者択一に収束するのではない表現の模索が、かたちをとり始めているようだ。

出品者のなかでは、留学生として写真学科に在籍していた蔡嘉辰(中国出身)、崔原豪(韓国出身)の作品に注目した。二人とも細やかな目配りを感じさせるカラー写真で、被写体との微妙な距離感を測りながらシャッターを切っている。大学卒業後、ドイツに滞在していたという西村満の作品は、鋭さと包容力を併せ持った被写体の把握の仕方に特徴がある。ほかの出品者たちにも、自分のスタイルが定まりつつある者が多い。約3年に一度のペースで開催する予定とのことなので、次回の展示を楽しみにしたい。


New Old School 2─写真は写真─:http://darkroom.jp/about/

2023/11/18(土)(飯沢耕太郎)

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