artscapeレビュー

Venice - From Canaletto and Turner to Monet

2009年02月15日号

会期:2008/9/28~2009/2/15

バイエラー財団美術館[Beyeler Foundation Museum][スイス、バーゼル]

バーゼル郊外の、レンゾ・ピアノの設計によるバイエラー美術館で、ヴェネツィアを描いたさまざまな絵画を展示するもの。なお、この美術館に来る人たちは、かなり裕福そうな人が多かった。ヴェネツィアは昔から絵によく描かれてきていたし、そもそも写真がなかった当時は、絵葉書など土産物としての価値も持っていた。ここでは、古くはカナレットから印象派のモネを経由し、さまざまな画家がどのようにヴェネツィアを描いたかを一覧できるような展示になっている。同じ街だが人によってまったく描き方が異なる。例えば、ルドンがヴェネツィアを描いていることは知らなかった。よく見るヴェネツィアの風景とは全然違って、彼らしい筆致の暗い画風になっていて面白かった。また、地階ではVera LutterとDavid Claerboutという二人の現代写真家によるヴェネツィアも特別に展示されていた。とくに建築写真をやっている作家がすごく面白かった。部屋の中に入ると真っ暗な暗室で、ごくわずかな光量だけがある。ジェームズ・タレル的なことをしており、最初は真っ暗だが、じっといると目が慣れてきて、だんだん夜のヴェネツィアの写真が浮かび上がってくるという展示。これはなかなか面白かった

2009/01/03(土)(五十嵐太郎)

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