artscapeレビュー

2009年02月15日号のレビュー/プレビュー

Query Cruise Vol.1

会期:2008/11~2009/3

RAD room[京都府]

住所:京都市中京区河原町三条上がる一筋目東入る恵比須町531-13 3F

京都の真ん中、繁華街の近くに、京都工芸繊維大学を卒業したメンバーが、RADというグループをつくり、共同で所有している場所がある。下が中華の定食屋になっていて、三階に上ると設計事務所兼イベントスペースとなっている。Qeury cruiseは彼らが企画した連続イベントで、このスペースを利用して、五十嵐太郎、南後由和(社会学)、大屋雄裕(法哲学)の3人が5回ずつレクチャーをするもの。まだ始まったばかりだが、京都発なので、頑張ってほしい。彼らは京都工繊の時に年一度くらい同人誌をつくって建築批評などを寄せていた。今後の活躍が期待される。また、そこに出入りしている連中で、景観を配慮したためにヘンチクリンになってしまったメイド・イン・キョウト的な建築をコレクションしている人たちもいて、いずれ展示や書籍化されるだろう。

2008/12/12(金)(五十嵐太郎)

ヴィック・ムニーズ「ビューティフル・アース」展

会期:11/22~3/1

トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]

大地を掘り返してサイコロや傘などの日用品を描く《ピクチャー・オブ・アースワーク》、ゴミ処理場から出るゴミを使ってポートレートを描いた《ピクチャー・オブ・ガベージ》などのシリーズ。アイロニーに満ちておもしろい。でも、できあがった作品が写真でしかないところがつまらない。かといって「実物」を見ることはできないし、そもそも実物と写真のどちらを「作品」とするかはビミョーなところだし。そこがまたおもしろいともいえるのだが。

2008/12/21(日)(村田真)

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第4回府中ビエンナーレ「トゥルー・カラーズ──色をめぐる冒険」

会期:11/15~2/1

府中市美術館[東京都]

大がかりな力作を見せてくれた雨宮庸介をはじめ、原高史、村山留里子、横内賢太郎ら注目すべき作家7人によるビエンナーレ。にもかかわらず、印象が薄い。ていうか、引っかかるところがなく、あっというまに見終わってしまう。子連れだったので集中できなかったせいもあるが、ああ「色」ね、と納得してしまったせいかもしれない。つまり見る目がテーマに着色されてしまったというか。こういう若手作家の紹介展の場合、テーマなんてあとからとってつけたようなもんだから、必要ないかも。でもそれじゃあ公立美術館としてはなげやりだしみたいな。

2008/12/23(火)(村田真)

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公開制作44 袴田京太朗 1000層

会期:11/15~2/1

府中市美術館[東京都]

さまざまな色のアクリル板を重ねて削っていく彫刻家の公開制作。まるで上記「トゥルー・カラーズ」番外編みたいな。

2008/12/23(火)(村田真)

橋本憲一郎+山中新太郎『「まちづくり」のアイデアボックス』

発行所:彰国社
発行日:2009年1月

「まちづくり」に関する24の事例紹介。大きく、「はじめる」「つなげる」「つづける」という三部に分かれる。まちづくりの本というと、手に取るべき人──例えば実際にまちづくりに関わっている人──は手に取るかもしれない。だが、そもそも興味のない人は、おそらくタイトルを見てスルーしてしまうだろう。しかし、そこで立ち止まってほしい。この本は二人の建築家が中心となって、設計者の視点でまちづくりの何に関わることが出来るのかということが書かれている。事例紹介とセットになった、より一般的な視点からのエッセイも分かりやすい。まちづくりに携わった建築家が何を考えて、またどのような意識で行動していったかということが分かり、素晴らしい。2000年以降における、日本の注目すべきまちづくり事例のうち、より建築と関連深いものが、かなり網羅的に紹介されている。

2008/12/25(木)(松田達)

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