artscapeレビュー
日本の自画像 写真が描く戦後 1945-1964
2009年06月01日号
会期:2009/05/02~2009/06/21
世田谷美術館[東京都]
1945年の敗戦から1964年の東京オリンピックまでの戦後日本を写真によって検証する展覧会。石元泰博、川田喜久治、木村伊兵衛、田沼武能、東松照明、土門拳、長野重一、奈良原一高、濱谷浩、林忠彦、細江英公、あわせて11人の写真家による168点のモノクロ写真が展示された。木村や土門、長野などのジャーナリスティックな傾向と、川田や東松、細江のような美学的な傾向が混在することで、戦後日本の歴史の厚みが表現されていたように思う(ただし、写真家はいずれも男性である)。なかでも衝撃的だったのが、田沼武能の《紐で電柱につながれた靴磨きの子ども》。敗戦後の銀座で犬のように電柱に縛りつけられた子どもは、とても「子ども」とは思えない、生きることに貪欲な労働者の眼をしている。
2009/05/12(火)(福住廉)
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