2019年11月15日号
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artscapeレビュー

レゾナンス 共鳴 人と響き合うアート

2010年05月01日号

会期:2010/04/03~2010/06/20

サントリーミュージアム[天保山][大阪府]

生と死、喜び、悲しみ、笑いなど、人間の根源的な感情を刺激する作品ばかりを集めた展覧会。国内外の20作家が出品しているが、海外組がキーファーやロスコなど大御所が多いのに対し、国内作家は小泉明郎や金氏徹平など若手が中心だった。これには年内で休館するサントリーミュージアム[天保山]から日本の若手作家に贈るエールの意味があるという。テーマ主義で作品を駒として扱うのではなく、個々の作品との対話を重視しているのも本展の特徴。まるでミュージシャンがアルバムの曲順に工夫を凝らすように、本展では作家の配置にこだわりが感じられた。特に前半の流れは秀逸で、イケムラレイコとマルレーネ・デュマスで静かに始まり、ポール・マッカーシーで転調した後、ラキブ・ショウと小谷元彦でスピリチュアルな空気感を作り出し、伊藤彩で一息ついてからジャネット・カーディフの《40声のモテット》で一気に高揚の頂点へと持って行かれた。後半は線的な流れではなく、テイストの違う作品を散りばめられた万華鏡的な世界が広がっていた。ビートルズの『アビィ・ロード』のA面とB面が逆になった感じとでも言えばご理解いただけるだろうか。こんな見方が果たして正しいのか自信はないが、1枚のアルバムを聞く感覚で展覧会を体験するのも悪くないものだ。

2010/04/09(金)(小吹隆文)

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