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東北芸術工科大学卒業・修了展[東京展]

2010年05月01日号

会期:2010/03/26~2010/04/03

東京都美術館[東京都]

東北芸術工科大学の卒業・修了展。本校での卒業・修了展の中から選抜された学生による作品が発表された。先に国立新美術館で催された東京五美大展と比べると、全体的に平均値が高く、ひとつひとつの作品の輪郭が際立っており、楽しめた。なかでも抜群だったのが、工芸の菊池麦彦。漆黒の机の上に木箱と漆を塗り重ねた色とりどりのルアーを並べ、あわせてそのルアーを使って本物の魚を釣り上げた映像も発表した。作品の見せ方もうまいし、何よりも漆のルアーで魚が釣れるという意外性がじつにおもしろい。美的に鑑賞されるだけではなく実用的な価値をも満たすのが工芸の本領だとすれば、美しくもあり使えるルアーは工芸の王道であり、古い技を刷新し続けていくことが伝統だとすれば、菊池のルアーはまちがいなく工芸の伝統である。

2010/03/27(土)(福住廉)

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