2019年07月15日号
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artscapeレビュー

第13回岡本太郎現代芸術賞

2010年05月01日号

会期:2010/02/06~2010/04/04

川崎市岡本太郎美術館[神奈川県]

13回目を迎えた岡本太郎現代賞。昨年と比べると、全体的に突き抜けた作品が多く、一つひとつの作品をじっくり楽しめた。アルミホイルで騎馬軍団を作り出して太郎賞を受賞した三家俊彦をはじめ、黒光りする銃器を紙と鉛筆で制作した長谷川学、日常用品の表面に塗料を幾重にも塗り重ねたうえでそれらを削り取って色彩のテクスチュアを見せる辻牧子など、愚直な手わざをひたすら追究した作品が目立つ。特定の美術理論が衰退したおかげなのか、作り手の創造性がじつに素直に発揮されている印象だ。そうした自由奔放さが、プロとアマはもちろん、国籍や年齢制限も問わない、この賞の間口の広さに由来していることはまちがいない。ただその一方で、審査員の趣向や好みを狙い撃ちにしたような作品が数多く見受けられたのも事実である。応募者のなかで「傾向と対策」が画策されているとすれば、それは審査員の評価基準が時代の先端からやや遅れ、硬直化しているということにほかならない。これを放置しておけば、せっかく良質の公募展としての評価を確立してきたのに、旧態依然としたセンスで現代の最前線を標榜する公募展に成り下がらないともかぎらない。いっそ審査員を丸ごと入れ替えて刷新を図るべきではないか。

2010/03/28(日)(福住廉)

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