2019年09月01日号
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artscapeレビュー

有賀慎吾 The Yellow Show

2010年05月01日号

会期:2010/03/31~2010/04/11

Art Center Ongoing[東京都]

新進気鋭のアーティストとして注目を集めている有賀慎吾の新作展。有賀の代名詞ともいえる黒と黄色のデンジャラス・カラーはそのままに、これまでとは打って変わって観客参加型の作品を発表した。細長いパイプを自由に組み合わせることができる造形物を組み換えるように観客に促したり、怪しいお面をつけてビデオに写るように勧めたり、観客の感想を自由にノートに書きつけられるように設定したり、近年の観客参加型作品の傾向を強く意識した作品だ。だが、そこには観客参加型のアートの傾向に相乗りしようとする浅はかな戦略性というより、むしろ観客の参加をむやみに称揚しがちな昨今のアートそのものへの批評性がひそんでいる。いや、正確にいえば、それは批評性というより、底知れぬ悪意であり、それこそ現在の現代アートにもっとも欠落している精神である。有賀がすぐれているのは、作品の根本はそのままに、さまざまなアプローチによって、その重大な欠陥を補うことができるからだ。

2010/04/04(日)(福住廉)

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