2019年11月15日号
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artscapeレビュー

快快「スナック『しばはま』」

2010年05月01日号

会期:2010/04/09~2010/04/10

SNAC[東京都]

落語の名作『芝浜』を快快が演劇化するという。楽しみな6月の本公演に先駆け、深川に新しくできたSNAC(桜井圭介の吾妻橋ダンスクロッシングと無人島プロダクションが共同プロデュースするスペース)で行なわれたのが本作。「スナック」とタイトルにある。元スナックというよりは元居酒屋だったらしいSNACの空間、床に青いビニールシートが敷いてありお花見会場みたいだ。坐る場所を確保すると快快の女性メンバーたちがおでんや焼酎などをふるまってくれる、その様子は確かにスナック風。しばらくすると、女性メンバーたちは観客の間に入っておしゃべりをはじめた。パラパラダンスや紙切りの出し物を間に挟んで、観客はひたすら飲まされた。そんな1時間ほどが経ってから『しばはま』上演。3人の役者が全員で夫になったり女房になったり、2対1になったり1対2になったりと、いつもの快快らしく複数の役者がひとつの役を交替であるいは同時に演じてゆく。考えてみれば、首を右に左に振るだけで役を切り替える落語の演技形式は、快快の発想に近いといえなくもない。飲んだくれの夫の話を、観客はさんざん飲まされた状態で受けとめた(上演の幕間にはフリードリンクタイムまであった)。劇空間であり、また「スナック」でもあるという場は、『芝浜(しばはま)』の物語の内部に身体ごと観客を引き込む仕掛けだったわけだ。

2010/04/10(土)(木村覚)

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