artscapeレビュー

室内風景「西尾真代」

2010年07月15日号

会期:2010/06/10~2010/06/13

よこはまばしアートピクニックTOCO[神奈川県]

床屋さんだった店鋪を改装したギャラリー(だからTOCO)にも興味をもったが、なにより西尾真代の作品を見たかったので、横浜市営地下鉄の板東橋まで足を伸ばす。彼女は一貫して自分んちの室内風景ばかりを描いているのだが、いわゆる広角でとらえた室内風景ではなく、柱や階段や天井の一部、下から見上げた照明など、部分を拡大して半抽象化したかたちばかり。しかもその家は西洋風のお屋敷ではなく、1世代前の木造モルタルの典型的な日本家屋……と、こう書いていま気づいたが、彼女の絵には高橋由一の匂いがするのだ。つまり、日本的な風土・環境のなかに油絵を順応させようとする四畳半的座敷わらしの匂いというか。とくに今回は床屋さんの家屋が彼女の描く室内図と近い質感をもっているため、展示場所としてはハマリすぎくらいにハマっていた。

2010/06/11(金)(村田真)

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