artscapeレビュー

暗がりのあかり──チェコ写真の現在展

2010年07月15日号

会期:2010/06/19~2010/08/08

資生堂ギャラリー[東京都]

80年代以降のチェコで注目される10人の写真展。冷戦下の東欧から社会主義体制が崩壊する80~90年代は、時代を反映してモノクロームの暗い写真が多く、いかにもチェコ的(もちろん偏見)だが、21世紀に入ると西欧と変わらない明るく乾いた作品が増えていく。そうなると、先端を行く隣国ドイツの現代写真にいかに追いつき、いかに差異化を図るかが問題になってくる。たとえば、さまざまなシチュエーションでセルフポートレートを撮るディタ・ペペなどは、ありがちな写真として見過ごされてしまうが、双子を撮ったテレザ・ヴルチュコヴァは、ダイアン・アーバス的モチーフにロレッタ・ラックス的技巧を加えることで突出を試みる、といったように。

2010/06/22(火)(村田真)

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