artscapeレビュー

wks. X vision:亀谷彩漆作品展

2010年07月15日号

会期:2010/05/17~2010/06/05

Gallery wks.[大阪府]

過去作品と新作を併せて展示することで、広がりや深みを増していく作家の表現世界をより鮮やかに見せようと企画されたシリーズの第一回目。トップバッターは漆作家の亀谷彩。動物の毛皮、鳥の羽根、シカの角などがあしらわれた道具や器など、祭祀の場をイメージさせる会場は、緊張感にも包まれた全体の雰囲気自体が美しい。ひとつずつを見ていくと、技法、色、質感もじつに多様で、塗装の感触や漆黒の層の表情など、ひとことで漆と言っても奥深いなあと、古来からハレの場で用いられてきた漆そのものの性質と魅力に改めて納得した。ハレとケの区別も薄らいだいまの生活では儀式や神事も遠い感覚だったりするが、不思議なデザインの道具類の用途や文脈に連想も誘発されて作家の自由な想像力とセンスに感動。

2010/06/05(土)(酒井千穂)

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