2018年01月15日号
次回2月1日更新予定

artscapeレビュー

奥村雄樹による高橋尚愛

2016年07月15日号

会期:2016/06/04~2016/09/04

メゾンエルメス8階フォーラム[東京都]

奥村はベルギーのある画廊の活動をまとめた本を通じて、60年代にそこで個展を開いた高橋尚愛というコンセプチュアル系のアーティストを知る。彼に興味をもった奥村は、当時の画廊主を探し出して、倉庫で作品に対面し、作家本人に会うことにも成功。高橋はミラノでルーチョ・フォンタナ、その後ニューヨークで長くラウシェンバーグのアシスタントを務めたという。なぜ高橋に興味をもったかといえば、奥村と同じく「私の作品」「作者」という概念に批判的な問題意識を持っているからだ。ここからふたりのコラボレーション、というより奥村による高橋への自己同一化の試みが始まる。今回のふたりの「個展」では、高橋としてインタビューに答える奥村の映像、ラウシェンバーグらとともに撮った写真から高橋だけを浮き上がらせた画像、高橋がラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ、ジョセフ・コスースら22人のアーティストに記憶だけで描いてもらったアメリカ地図などを出している。この地図の作品は、サイ・トゥオンブリは極限まで単純化し、荒川修作は女の横顔に見立てて描いていておもしろいのだが、彼らの作品であると同時に高橋の作品であり、また今回は奥村の作品にもなっているのだ。この方法を拡大すれば「ひとり国際展」も不可能ではない。ちなみに高橋の若き日のポートレートを見ると、どことなく奥村に似ている。

2016/06/06(月)(村田真)

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