2018年12月15日号
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artscapeレビュー

須崎祐次「Hole of Human」

2016年07月15日号

会期:2016/05/13~2016/06/11

EMON PHOTO GALLERY[東京都]

須崎祐次の個展「Hole of Human」を見て、あらためて写真展示における「パレルゴン」(額縁、マット、台紙、ピンなど)の意味について考えた。画像そのものを本質として考えれば、それらは余分な装飾的な要素にすぎない。写真の純粋性を究めるならば、なるべくシンプルでミニマムな展示のあり方がいいという考え方もあるだろう。だが、今回の須崎の作品でいえば、古いゴシック的な額縁を使ったり、画像の上に穴がたくさんあいたプラスチック板を重ねたりといった「パレルゴン」的な操作は、写真の内容と分ちがたく結びついており、一体化して、面白い視覚的な効果を生じさせている。凝りに凝った「コスプレ」のマスクや衣装(自分でデザインして特注したもの)を身につけた女性たちの身体の一部を、複数の穴から覗けるようになっているのだが、その仕掛けが無理なく、効果的に働いているのだ。
須崎は日本大学芸術学部写真学科卒業後、1988~92年にニューヨークで写真家として活動した。帰国後、92年に写真「ひとつぼ展」の前身にあたる、ガーディアン・ガーデンのコンペでグランプリを受賞して注目されるが、その後は模索の時期が続いていた。だが、前回のEMON PHOTO GALLERYでの個展「COSPLAY」(2013)のあたりから、自分のこだわりを形にしていく技術力の高さと、研ぎ澄まされたフェティッシュな嗜好とがうまく合体して、独自の写真の世界が生み出されつつある。視覚的なエンターテインメントとしてのレベルの高さも感じるので、日本の「コスプレ」文化に関心が深い、海外での本格的な展示も期待できそうだ。

2016/06/02(木)(飯沢耕太郎)

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