2018年04月15日号
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artscapeレビュー

シリーズ・川崎の美術 樋口正一郎・井川惺亮展

2016年07月15日号

会期:2016/04/09~2016/07/24

川崎市市民ミュージアム・アートギャラリー2・3[神奈川県]

折元とほぼ同世代、ともに1944年生まれの樋口と井川の展覧会。ふたりとも80年代に作品を見ていたが、どちらも枠に張らない布や木材に原色を塗ったような絵画というかインスタレーションだった。この「絵画というかインスタレーション」というのは80年代にけっこう流行ったスタイルで、フランスのシュポール/シュルファスの影響が色濃かったように思う(井川は南仏でクロード・ヴィアラに師事していた)。ところがその後、樋口はパブリックアートの制作および調査研究にのめり込み、井川は長崎大学に赴任して、作品をばったり見なくなってしまう。だから今回ふたりの作品を見るのはほぼ30年ぶりといっていい。なんだ、ぜんぜん変わってないじゃん、と思ったのは井川の80年代の旧作で、さすがに近作・新作はずいぶん変わった。ふたりとも基本的に画面が四角いタブローになった。樋口はパブリックアートも手がけているせいか材質も形態も多彩で、レリーフ状の作品もあるが、井川は画面に絵具を垂らしてクモの糸のように線を張り巡らせ、線と線のあいだにできた余白に色を置いていく、いわば塗り絵の手法で描いている。でも変わらないのはふたりとも原色を用いることと、具象形態を描かないこと。

2016/06/12(日)(村田真)

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