2018年12月15日号
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artscapeレビュー

《坂の上の雲ミュージアム》ほか

2016年07月15日号

[愛媛県]

竣工:2006年

以前、長谷川逸子の《ミウラート》や安藤忠男の光明寺を仕事でピンポイントで訪れただけだったので、今回はゆっくりと松山市を散策した。木子七郎による《萬翠荘》(1922)は、アール・ヌーヴォーのテイストを入れたフランス風のRC造の洋館である。室内は地元の作家の展示にも活用されていた。ただし、建築の説明文は難ありで、なんとかしてほしい。
坂を下ると、安藤忠雄による《坂の上の雲ミュージアム》だ。三角形プランの外周をめぐりながら、展示や《萬翠荘》の眺望を楽しみ、最後は中央の吹抜けを一直掩に貫くコンクリートの階段を降りて帰る。展示では、明治時代の熱い自由民権運動を紹介していたが、平成のいまでさえ、そうした基本的な考え方が浸透しているのかと不安になった。まるで、多くの人たちは景気さえ良ければ、国に対する自由も権利もいらないかのようだ。
なお、《坂の上の雲ミュージアム》の背後に、長谷川逸子による《菅井内科》がちらりと見える。これは鋭角が多用される安藤建築とは対照的に、カラフルで波打つファサードになっており、両者の対比も興味深い。

写真:左=上から、菅井内科、《坂の上の雲ミュージアム》、《萬翠荘》 右=上から2つ《坂の上の雲ミュージアム》、《萬翠荘》

2016/06/19(日)(五十嵐太郎)

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