2018年01月15日号
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artscapeレビュー

山谷佑介&松川朋奈「at home」+沢渡朔「Rain」

2016年07月15日号

会期:2016/06/04~2016/07/02

YUKA TSURUNO GALLERY[東京都]

不思議な組み合わせの3人展だ。山谷佑介は赤外線カメラでネガ像に転換したボール紙のようなペラペラの感触の「家」の写真を、松川朋奈は同世代の女性たちの日常の痕跡を描いた油絵を「at home」というタイトルで出品している。沢渡朔はここ10年ほど折に触れて撮影してきた「Rain」のシリーズから、夜に撮影された縦位置の写真を展示した。方向性はまったくバラバラだが、そこにはどこか共通の視点も感じられる。山谷が「ホラー感」という言葉で的確に表現していたのだが、どの作品にも何とも不穏な雰囲気、どことなく不安げで危険な匂いが漂っているのだ。
それが一番強く感じられるのは、やはり沢渡の「Rain」だろう。雨に濡れそぼった街、繁茂する植物、その中を軟体動物のようにぬめぬめと漂う車や人間たち──この作品には、あらゆる事物をエロティシズムの原理が支配する世界に封じ込めようとする沢渡の志向がよくあらわれている。じつはこのシリーズは以前、ヌードの女性たちの絡みの写真群とカップリングして発表されたことがあった。国書刊行会から展覧会にあわせて同名の写真集が刊行されているのだが、残念なことにヌードのパートは割愛されている。ぜひ、別ヴァージョンの「Rain」の写真集としてまとめてほしいものだ。
なお、YUKA TSURUNO GALLERYは本展を最後にして東京・東雲から天王洲アイルに移転する。今回の展示の3人中2人が写真家であることでわかるように、これから先も現代写真にスポットを当てた展示が期待できそうだ。

2016/06/04(土)(飯沢耕太郎)

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