2018年09月15日号
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artscapeレビュー

大塚咲「3P」

2016年07月15日号

会期:2016/06/24~2016/07/10

神保町画廊[東京都]

性的な行為を写真として表現するのは、簡単なようでなかなかむずかしい。人間が何かに夢中になって没入している時の、真剣かつ厳粛で、時にはたまらなく滑稽な表情や身振りは、写真の被写体としてとても魅力的なのだが、下手すると退屈なポルノグラフィ以上のものにはならないからだ。しかも、それは時には法の規制を受けるような「危ない」イメージであり、写真家も観客も感情を完全にコントロールするのは不可能である。何人かの写真家たちが、そのぎりぎりの綱渡りを試みてきたが、あまりうまくいかないことが多かった。
プロフェッショナルの性的なパフォーマーとして活動してきた大塚咲の新作は、自らが被写体となるという仕掛けのなかで、その難題にチャレンジしている。この「3P」のシリーズには、彼女自身を含んだ3人/3組の男女が登場してくる。その複雑に進行していくプロセスを捉えるために、彼女が思いついたのは、複数のイメージをA3サイズで「コンタクトプリント」のように提示することだった。100カット以上をひとつの画面におさめることで、めくるめくような視覚的な効果が生じてくる。それに加えて、単独の写真(2L、A3、A2サイズ)も300点近く展示することで、ギャラリーの空間を活かしたインスタレーションとして、とてもうまく構成されていた。「性は好奇心に突き動かされて、どうして人の本性を見せるんだろう。どうして心の傷を見せるんだろう。どうしてそれを見た時、私は安心するんだろう」。写真の選択にはまだ甘さが残るが、写真展に寄せたこの大塚のコメントを見る限り、性行為を媒介にした人間観察には、さらなる深化が期待できそうだ。

2016/06/24(金)(飯沢耕太郎)

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