2018年01月15日号
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artscapeレビュー

都築響一「エロトピア・ジャパン 神は局部に宿る」

2016年07月15日号

会期:2016/06/11~2016/07/31

アツコバルー[東京都]

「神は局部に宿る」。さすが都築響一というべき素晴らしいネーミングのタイトルである。東京・渋谷のアツコバルーで開催された本展には、かつて日本各地に存在していた「秘宝館」の写真と実物の展示を中心に、まさにエロスのユートピア=「エロトピア」としかいいようがない日本人のエロス表現の諸相が盛りだくさんに並んでいた。
都築の冴え渡った編集能力によって構成された「ラブホテル」、「秘宝館」、「ベルベット・ペインティング」、「風俗詩」、「イメクラ」、「ラブドール」、「性のお達者クラブ」といった展示物を巡っていくと、あらためて日本人のエロスの風通しのよさに驚嘆させられる。江戸時代に異様なほどの活況を呈した「春画」を見ればわかるように、性的な営みを「罪」と見なすような西洋諸国とはまったく異質の、開放感あふれる性の表現が、少なくとも戦後の高度経済成長期まではその生命力を保ち続けていたことが、これらの出品物からいきいきと伝わってくるのだ。残念ながら、都築が撮影した11カ所の秘宝館が、伊勢の「元祖国際秘宝館」をはじめとして、「伊香保女神館」と「熱海秘宝館」を除いてはすべて閉館してしまったのを見てもわかるように、2000年代以降、そのエネルギーは枯渇しつつある。都築が精力的に撮影し、収集し続けてきたこれらのイメージが、もはや貴重な記録資料となってしまったことには、強い危惧感を覚えざるをえない。
「西洋のそれのように後ろめたく陰湿ではなく遊び心に溢れている」日本のエロス表現を、なんとか生き延びさせるにはどうすればいいのか。知恵を絞らなければならない時期が来ているようだ。

2016/06/19(日)(飯沢耕太郎)

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