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artscapeレビュー

鷹野隆大「金魚ブルブル」

2010年07月15日号

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会期:2010/06/18~2010/07/22

ツァイト・フォト・サロン[東京都]

次に京橋のツァイト・フォト・サロンへ。個展のオープニングの前の時間というのはけっこう狙い目で、作者とゆっくり話をして作品を見ることができる。
鷹野だけではなく、北京で大きな個展を開催したばかりの安齊重男も姿を見せて、世界中のアーティストを撮影する時の興味深い話をうかがうことができた。
鷹野の作品は、「撮りはじめてからまだ2カ月」というまったくの新作で、ロールサイズの大判プリントが3点と全紙サイズのプリントが8点。被写体はすべて全裸、あるいは半裸体の男性である。テーマそのものは鷹野の作品としては決して珍しいものではないが、これまで以上にエロスの強度が増しているように感じる。たとえば、昨年刊行した『男の乗り方』(Akio Nagasawa Publishing)では、やはり男性のエロスを正面から扱っているが、そこではむしろ鷹野と被写体との「距離感」が意識されている。「距離を縮めようとする欲望こそがエロスを生み出す」ということだ。ところが、今回の「金魚ブルブル」では距離がかなり詰められ、「欲望を発生させるポイント」を見つけだすことに狙いが定まっていた。その意図はかなり突き詰められていて、何とも生々しい場面があっけらかんと展開している。『男の乗り方』も「あるようでない」写真集だったが、この「金魚ブルブル」もあまり例を見ないあからさまな直視型の男性ヌードである。その「ぬるり」「ぴちゃぴちゃ」とした肌の感触がなまめかしい。この新作を見ても、鷹野は写真家としての水脈をしっかりと見出しつつあるのではないかと思う。

2010/06/18(金)(飯沢耕太郎)

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