artscapeレビュー
トポグラフィー・オブ・テラー、ピーター・アイゼンマン《ホロコースト・メモリアル》
2012年07月15日号
[ドイツ・ベルリン]
ベルリンへの訪問は2001年の9月11日の同時多発テロの日に入って以来、11年ぶりである。そのときはちょうどダニエル・リベスキンドの《ユダヤ博物館》が一般オープンした日だったが、今回はその後に完成したトポグラフィー・オブ・テラーやピーター・アイゼンマンの《ホロコースト・メモリアル》を訪れた。ベルリンでは、60年以上前の戦時下の記憶が、今なお現代建築として立ち上がる。《ホロコースト・メモリアル》は、慰霊空間であると同時に、遊びを誘発する場だった。晴れた日中は子どもたちが走ったり、かくれんぼができる。だが、地下に降りて展示を見ると、その空間デザインは地上の直方体が林立するランドスケープとシンクロし、忌まわしい記憶を想起させるものだった。
写真:上=トポグラフィー・オブ・テラー、下=ピーター・アイゼンマン《ホロコースト・メモリアル》
2012/06/03(日)(五十嵐太郎)